ヴィッラ・ファルコニエーリ Villa Falconieri(フラスカーティ)

カステッリ・ロマーニ地方フラスカーティには貴族が競って建てたヴィッラが12棟残っているが、ヴィッラ・ファルコニエーリは最古。ローマ共和政時代のヴィッラがあった場所に建てられた、15から16世紀頃の豪邸である。


歴史

共和政ローマ時代から既に、ローマ人が目をつけ 避暑地だった。ここには 政治家で軍人のルキウス・リキニウス・ルクッルス(Lucullo 紀元前118年-紀元前56年)と政治家で哲学者のマルクス・トゥッリウス・キケロ(Cicerone 紀元前106年1月3日-紀元前43年12月7日)の屋敷があった。

1527年のローマ略奪で損害を受けた後、バジリカータ州メルフィ出身の枢機卿アレッサンドロ・ルフィーニ(Alessandro Rufini)により現在のヴィッラのオリジナルが建設された。そのためルフィーナ宮殿(villa Rufina)と呼ばれていた。しかし、数年後に借金の返済のため売却を余儀なくされる。

後1546年頃にファルネーゼ家のパウルス3世により増築。アントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョヴァネ、弟子が設計。

その後、ジャン・ヴィンチェンツォ・ゴンザーガ枢機卿が所有していたが、1587年に売却。聖職者のMario Santi di Santafioriが1603年まで所有していた。

1628年、オラツィオ・ファルコニエーリ(Orazio Falconieri)が買い、フランチェスコ・ボッロミーニ(Francesco Borromini)に修復を依頼。

ファルコニエーリ家は、銀行家で塩の製造販売で富を得た家系である。枢機卿キアリッシモ・ファルコニエーリ(Chiarissimo Falconieri Mellini)が亡くなる1859年まで所有していた。


1907年5月にドイツ、ベルリンの銀行家の男爵Ernest Mendelsshon-Bartholdyが買い、Kaiser Guglielmo IIに捧げられた。

1911年4月6日、王子Guglielmo と姫 Cecilieが訪れ、修復を開始することを決めた。

ここは、ドイツの小説家Richard Vossが25年間居住し、小説『ヴィッラ・ファルコニエーリ』を書いた家である。そのため、ローマでのドイツ人のコミュニティーができていた。

第一次世界大戦後、ドイツとの国際法諮問機関の後、ヴィッラ・ファルコニエーリはイタリア国の所有となった。

第二次世界大戦中にヴィッラは大損害を受けた。

1959年に修復された後、様々な機関が入ったが、2016年から現在まではアカデミーAccademia Vivarium Novumとして使われている。テレビドラマの撮影などもされた。


外観

バロック様式フランチェスコ・ボッロミーニ(Francesco Borromini)設計。

3つのアーチのポルティコ(柱廊)がある。



建物内

第二次世界大戦で損害を受けた部分は新しいが、入口アトリウムから左へ進むと、Pier Leone Ghezzi, Giacinto Calandrucci, Ciro Ferri, Nicolò Berrettoniなど様々な画家が手がけたフレスコ画が鑑賞できる。部屋ごとに四季をテーマに描かれている。


★ 玄関の大広間 Salone d'ingresso

壁画がだまし絵になっており、時計もテラスも絵画だということに驚かされる。

半月形の壁画部分には、ファルコニエーリ家の人々の様子が描かれている。

天井画は『ヴィーナスの誕生(Nascita di Venere)』

入口右側床のガラスパネルを覗くと、更に古い建物跡が見られる。

ドア部分に描かれた、杖を持ち船形帽子を被っている人物は、ほとんどの壁画が描かれた1727年頃にヴィッラの所有者だった、マリオ・ファルコニエーリだと思われる。当時の服装などが興味深い。



★ 会議室 Sala delle Conversazioni

会議室か、冬の部屋と言われている壁画はピエル・レオーネ・ゲッツィ作。

ピエル・レオーネ・ゲッツィ(1674-1755年)の肖像画。

天井画『オラツィアの略奪(Ratto di Orazia)』ピエトロ・ダ・コルトーナの弟子、チーロ・フェッリ(Ciro Ferri)作 1675-77年


★ 夏の部屋 Sala della Ringhiera

ゲッツィがヴィッラの所有者ととても深い関係にあったため、訪問客をモデルとした絵画も細かに描いて表現されている。


★ 秋の部屋 Sala dell'Autunno

『Trionfo di Bacco』ピエトロ・ダ・コルトーナの弟子、チーロ・フェッリ(Ciro Ferri 1634-89年)作

女性がワイングラスを持ち上げ、ブドウの木やワイン樽が描かれてている。


★ 夏の部屋 Sala dell'Estate

『Trionfo di Cerere』ジャチント・カランドゥッチ(Giacinto Calandrucci 1646-1707年)作



★ 春の部屋 Sala della Primavera

ジョヴァンニ・フランチェスコ・グリマルディ(Giovanni Francesco Grimaldi)の壁画。1672年


庭園内

★ イタリア式庭園 Giardini all'italiana

17世紀のイタリア式庭園。緑の垣根と植物が規則的に並んでいるのが美しい。ローマ方面の景色。

舟の噴水 Vasca dela Galera


★ 小さな人工池

庭園内には18世紀の小さな池があり、周囲は杉の木が並んでいる。

次回見学


情報

ヴィッラ・ファルコニエーリまでは、フラスカーティの中心街から少し離れおり徒歩で15分程。ボッロミーニ通りの坂を上る。

ヴィッラ・ファルコニエーリ Villa Falconieri

  • 入園 無料
  • 日曜だけ開園 10時~13時(毎月第一日曜は午後も15時から17時まで開園)
  • ガイドは10時と12時(予約は必要なく、時間に建物入口に集合する)
  • 所在地: Viale Borromini, 5, 00044 Frascati RM
  • 電話: 06 668 9034



写真集



ブログ




参考

Wikipedia

EDICOLANTEのイタリア小さな可愛い街の旅行記とコラム

イタリア在住15年。現在住んでいるローマを中心に旅した記録をまとめるサイトです。 ブログは、ほぼ毎日アメーバブログで書いています。 http://ameblo.jp/edicola コラムニスタとしてイタリア関連の記事も書いています。 お気に入り旅写真をアップし、地域別におすすめイタリアの小さな可愛い街の旅行記をまとめていきます。

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