城壁外の聖アグネス聖堂 Basilica di Sant'Agnese fuori le Mura
ローマ城壁外のという名があるように、ローマ中心街から少し離れたノメンターナ沿いにある聖堂。中世初期キリスト教会。
コンスタンティヌス帝の娘コスタンツァが、聖アグネスの墓の上に小さな聖堂を作ったのが始まり。7世紀にホノリウス1世により再建、ハドリアヌス1世が修復。
★ 聖女アニェーゼ
聖アグネスは イタリア語はサンタニェーゼ( 聖アニェーゼ)純潔の守護聖人であるため、結婚式に人気の教会。
聖アグネスは、ローマ長官センプロニウスに求婚されたが、「私はもう神と結婚しています」と、拒否。怒ったセンプロニウスにキリスト教徒であることを告発され、ローマでキリスト教の公認以前であったため罪とされ、ドミティアヌス競技場(現在のナヴォーナ広場)で捕らえられ、 娼婦として働かされそうになった。しかし、アグネスの髪がどんどん伸び、肌は隠され、天から光が指し天使が舞い降り、眩しくて誰も彼女を見ることさえもできなく、生涯、純潔を貫いた。
304年1月21日、火炙りにされた時、 火が割れて彼女を焼くことができず、結局、斬首刑で13歳で殉教。殉教後、両親の前に羊と共に現れた、など様々な伝説を残している。
彼女の名前はラテン語で子羊を意味するagnus(アグヌス、アニュス)と似ていることからしばしば子羊と共に描かれるが、実際はギリシャ語の“処女の、純潔な、神聖な”という意味のhagnē (ἁγνή) が由来とされている。
聖アグネスの聖遺物は、ローマのナヴォーナ広場にあるサンタニェーゼ・イン・アゴネ教会(Sant'Agnese in Agone)にも安置。
★ 1月21日聖アグネスの日
304年1月21日がアグネス命日。354年の"Depositio Martyrum"という資料に記録。
毎年1月21日聖アグネスの日には、ヴァチカンの伝統で、羊二匹と彼らの羊毛で仕立てられた、法王が使うパッリウム(Pallium)と呼ばれる白いストールを、法王から新しく指名された大司教に渡される伝統儀式がある。
外部
★ ファサード
★ 日時計 Torre con orologio solare
★ 鐘楼
教会の外壁面には石碑の破片が貼り付けてある。
内部
コリント式円柱は、古代のコスタンツァのバジリカから再利用したものだと言われている。
★ 格間天井 Soffitto a lacunari
1606年に枢機卿パオロ・エミリオ・スフォンドラーティ(Paolo Emilio Sfondrati)の命で飾られ、17世紀に改修された。
主祭壇
★ ビザンチン様式のモザイク
聖堂内アプスには、7世紀のホノリウス1世当時のビザンティン・モザイク が残る。教皇シンマクスと ホノリウス1世の間に聖アグネスがいる。
ビザンティン・モザイク( ティセラ・モザイク)は、ガラスや大理石の四角いティセラの欠片を、壁に漆喰を塗り、乾かないうちに差し込んでモザイク画を作る。
古代でもモザイク画は既に使われていたが、中世初期キリスト教美術では、透明のガラスに金箔が貼られた金色のティセラが多く使われた。
聖女アニェーゼの両脇に火と剣が描かれているのは、聖女アグネスがキリスト教弾圧で殉教した当時の奇跡と関連している。
★ チボリオ Ciborio
1615年のパウルス5世の時代の作品。
★ カタコンベ
"PAULUS V PONT MAX UT SS AGNETIS ET EMERENTIANAE CORPORA HONOREFICIENTUS CONDERENTUR ARCAM HANC ARGENTEAM FIERI IUSSIT IN EAQ(UE) SACRAS RELIQUIAS COLLOCAVIT A D MDCXV PONT XI".
という碑文が書かれている。
ローマの2箇所でアグネスの躯体骨が崇敬されている。頭蓋骨はこの教会のアグネスの墓があるカタコンベの上、そして、アグネスが捕らえられ亡くなった場所、現在のナヴォーナ広場の聖アグネス教会に1652年に移され安置されている。
★ 1855年の十字架
次回見学
★ サンタニェーゼ像かローマのマトローナ
1605年、ニコラス・コルディエ(Nicolas Cordier)作の小さなサンタニェーゼ像。メノウのような古代のアラバスター(Alabastro)製の彫刻。ローマのマトローナ(Matrona romana)と言われる像であった可能性があり、古代の彫刻に青銅の頭と、手と足などが付けられたと言われている。
★ ドメニコ・トイエッティのフレスコ画
ドメニコ・トイエッティ( Domenico Toietti、Rocca di Papa, 1807 – San Francisco, 1892)のフレスコ画『ピウス9世の奇跡 L'evento miracoloso occorso a Pio IX』 が描かれている。 1858年の危険を回避した記録である。
★ 拝廊
古代キリスト教会の本堂前の柱廊
★ マトロネオ
側廊には、マトロネオ(Matroneo)と言われる、7世紀の柱があるロッジャ上の通路があり、 中世の頃には女性用であった。
★ 大理石の階段
1590年に設置された階段。
通路両側の壁面にはカタコンベから出土した大理石の墓碑の破片等が張り付けてある。これらは、聖女アグネスの石碑であり、聖女アグネスの生涯について書かれている。
↓ 詳しくはブログへ
アクセス方法
城壁外の聖女アグネス聖堂 Basilica di Sant'Agnese fuori le mura
ローマ中心街からバスでノメンターナ街道を北上するか、地下鉄B線駅から徒歩5分程。
↓ 聖アグネス教会とサンタ・コスタンツァ聖堂のまとめページはこちら
ブログ
2018.10
周辺散策
教会内
聖アグネスについて
教会裏
参考
Wikipedia
0コメント