サンタ・マリア・イン・ドムニカ・アッラ・ナヴィチェッラ聖堂 Basilica di Santa Maria in Domnica alla Navicella

チェリオの丘のローマ時代の遺跡上に、7世紀に、貧しい人々を助けるため小さな礼拝堂が建てられた。紀元前6世紀頃から、古代街道の合流交通地点で、城壁内の夜間交通警察が待機し、火事が起こってないか、この高い丘から監視していた兵士の施設があった場所である。

別名船のマリア様の教会(Santa Maria alla Navicella)とも言われている。


外観


★ ファサード

1500年代、教会の持ち主であり、後にレオ十世となった、枢機卿ジョヴァンニ・デ・メディチ(ロレンツォ・イル・マニーフィコの息子)がアンドレア・サッソヴィーノAndrea Sassovino)に依頼。ルネッサンス様式。

中央には丸いバラ窓と2つの窓。ポルティコは、5つのアーチとドーリア様式のピラストリ。

最上部の紋章は、ローマ教皇インノケンティウス8世の紋章と、枢機卿ジョバンニフェルディナンド・デ・メディチの紋章


★ 船 Navicella

ファサードと同じく、枢機卿ジョヴァンニ・デ・メディチが依頼した1518-19年頃にアンドレア・サッソヴィーノ作の白の大理石とトラバーチン製の彫刻。

古代ローマの船(Galera romana)の彫刻のコピーである。オリジナルは、コロッセオ近くで発見された古代ローマの船の彫刻である。

航海の神イシデに捧げられたもので、ローマに来航していたエジプトの船乗りのためか、または、コロッセオ船上レース時の、船舶される場所の装飾だとも考えられる。

1931年に現在の位置に、噴水として設置された。フェリーチェ水道

平らな水受けには、モザイク装飾されており、魚と乗船所の絵が見られる。


★ 塔


★ 鐘楼

帆形の鐘楼は1714年製で、鐘はもっと古く1288年製。


教会内部

教会平面は9世紀のまま残っている。コリント式のカピテッロがついた、9つの様々な大理石の円柱が2列で、三廊式。16世紀に新しい窓が開けられた。

(↓ 次回見学)

身廊の花柄と、Litanie alla Vergine Mariaのフレスコ画は、1876年のアレッサンドロ・マントヴァーニ、ジョヴァンニ・ブルネッリ、ルイージ・ロンカーティの作品。

中央祭壇の窓の上のフリーズ部分は、ピエロ・ボナッコルシ(Piero Bonaccorsi、Perin del Vagaと呼ばれた)の作品で、ライオン(依頼者のレオ10世の名前から)と、天使たちと、Medicee(指輪とダイヤモンドと、3つの羽)これはジュリオ・ロマーノ(Giulio Romano)のデザイン。


主祭壇

アプスのモザイクは、9世紀にパスクワーレ1世により再建された当時のもので、フレスコ画は 17世紀のもの。

★ アプスのモザイク

787年の第2ニカイア公会議(Concilio di Necea)の時期で、東方からビザンチン様式の専門職人を呼び作られた。

モザイク上部には一列に並んでいる聖人がいる。真ん中の聖人は生命を表す球体の上に座っており、 両側には天使と使者が描かれている 。

さらに下の両側にはそれぞれ、モーゼとエリア(Elia)キリストの変容(Trasfigurazione)を表す。

下に書かれている文字は、イタリア語に訳すと

“Questa casa prima era stata ridotta in rovine, ora scintilla perennemente decorata con vari metalli e la sua magnificenza splende come Febo nell’universo che mette in fuga le tenebre della tetra notte. O Vergine, il probo vescovo Pasquale ha fondata per te questa aula regale che deve rimanere splendida nei secoli.” 

という意味。

聖母の足元には青い四角いオーラが出ている教皇パスクワーレ1世。四角いオーラは、 まだ教皇が生きていた頃に作られたという意味。

聖母の手にはハンカチを持っており、聖なる子供を預けようとしているシーン。周りで天使が祝福している。


★ アプスの壁画

アプスのモザイクの下の壁画は、17世紀、ラッツァッロ・バルディLazzaro Baldi)の作品。

描かれた円柱で仕切られ、サン・ロレンツォと、サンタ・チリアカの生涯(S.Lorenzo e Santa Ciriaca)

  • 『サンタ・チリアカの治癒(Guarigione di Santa Ciriaca)』 (サン・ロレンツォの前でひざまづいてる) 
  • 『足のラベンダー(Lavanda dei piedi)』
  • 『サン・ロレンツォから貧困者への施し(Distribuzione dei beni ai poveri da parte di S.Lorenzo)』

 の3つのシーンに分けられて描かれている。

★ サンタ・チリアカ

サンタ・チリアカは、 病気を治す能力があったようで、キリスト教迫害にあい、このチェリオの丘の家でサン・ロレンツォ達と落ち合っていたと伝えられている。


★ 床


★ 中央廊の上の壁のフレスコ画

20世紀にジュゼッペ・チェラッキーニ(Giuseppe Ceracchini)により身廊の壁面アーチ上部分のフレスコ画が描かれ、アプス下の2つの古代のサルコガスがある地下祭壇が修復された。


★ 木製天井

1565年にフェルディナンド・デ・メディチ(レオ10世)の依頼で、木製の格子天井を制作。メディチ家の紋章とLitanie di Mariaの聖餐のための神殿、舟が描かれている。 天井は19世紀に修復。


★ 側廊のルネッテの壁画

左のルネッタ 『洗礼者ヨハネの足元の預言者ゼカリア( Zaccaria con ai piedi S.Giovanni Battista)』 

右のルネッタ 『洗礼者ヨハネに福音書を読み上げる天使(l'angelo che ispirò il racconto del Vangelo a S.Giovanni Evangelista)』

(次回見学)


★ ファッチャータの裏

教会正面裏には、チェリオのミリタリー病院の礼拝堂のために作られた、パイプオルガンと聖歌台がある。



写真集

朝方の太陽光がステンドグラスを通して入り、教会内が照らされ神秘的。

隣のチェリモンターナ公園の入り口

地下鉄工事中は、教会内も補強されているため、モザイクや壁画が見学不可となっている。


Basilica di Santa Maria in Domnica alla Navicella 

Via della Navicella, 10, 00184 Roma RM

時間 8.30-12.30、 16.30-19.30 


ブログ

2018.12.25



2016.05.01

2015.02

2014.06.21


参考

Wikipedia

Viaggi di Raffaella

EDICOLANTEのイタリア小さな可愛い街の旅行記とコラム

イタリア在住15年。現在住んでいるローマを中心に旅した記録をまとめるサイトです。 ブログは、ほぼ毎日アメーバブログで書いています。 http://ameblo.jp/edicola コラムニスタとしてイタリア関連の記事も書いています。 お気に入り旅写真をアップし、地域別におすすめイタリアの小さな可愛い街の旅行記をまとめていきます。

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