ファブリアーノ Fabriano

マルケ州 アンコーナ県



マリーノ鍛冶屋職人(Mastro Marino)の伝説

昔むかし、ポッジョ城と古城に別れて住む兄弟がいたが、仲が悪く会えば喧嘩ばかりしていた。この2つの地域はヤヌス川を挟む谷があり、橋が架かる場所に、2人の客であったマリーノという鍛冶屋職人がいた。心優しいマリーノが仲を取り持ち、ひとつのファブリアーノという街になったという伝説がある。

ファブリアーノの語源は、ファッブロ(鍛冶屋)からきており、マリーノ鍛冶屋職人(Mastro Marino)のファブリアーノの街の紋章は、中世初期の頃から使われている。



歴史

石器時代から人が住んできた形跡があり、鉄器時代にはピチェーニ族が住み、紀元前4世紀頃、ケルト人のセノーニ族(Galli senoni)が支配していた。

★ ローマ人

2-3世紀にローマ人の町、アッティディウムAttidium“Attiggio”と、トゥフィクムTuficum)“Albacina”が繁栄したが、5-6世紀に蛮族の侵攻後、徐々に2つの町は衰退。

5-9世紀にアッティディウムの人々はトゥフィクムの人々ともに、現在のファブリアーノの旧市街のある南東に移住し、コッラマート城(Castello di Collamato)を建設したと言われている。

現在、ファブリアーノの分離集落となった場所トゥフィクムには、411年に古城(Castelvecchio)が建てられたとされている。


★ スポレート領

571年からファブリアーノはスポレート領に属し、773年にカール大帝率いるロンゴバルド族と戦った。この時代に多くの城やベネディクトゥスの修道院や教会が建てられ、経済発展した。


★ 鍛冶屋

"Faberius"と呼ばれ、鍛冶屋で昔から有名だったが、中世の時代にファブリアーノ "Fabriano"に改名された。13世紀から町の紋章に鍛冶屋職人のデザインが使われている。


★ 独立コムーネ

1234年にファブリアーノは独立コムーネに。

アッレグレット・ヌツィ(Allegretto Nuzi)やジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ(Gentile da Fabriano)の芸術作品が生み出された。


★ 教皇領時代

1300年、教皇派と皇帝派の対立に巻き込まれ、1378年まで皇帝ギベリン派のキアヴェッリ家(Chiavelli)が支配していたが、1435年のキアヴェッリの大虐殺(Eccidio dei Chiavelli)の後、フランチェスコ・スフォルツァ(Francesco Sforza 1435-1444)の短い支配の時期を経て、教皇領となった。

1515年に、ファブリアーノ市民とルネサンス期のメディチ家出身のローマ教皇レオ10世との間で対立し町は荒廃。この時期にファブリアーノの兵士の頭ジョヴァンバッティスタ・ゾビッコ(Giovanbattista Zobicco)が出現し、若者に武器をもたせ、防御力を高めた。

1519年、ファブリアーノの勢力を恐れたレオ10世は、ゾビッコをローマに呼び寄せ、拷問の後殺害。

多くの内戦の後、1527年に枢機卿ジュリオ・デ・メディチ(クレメンス7世)により争いは収束し、17-18世紀に町は再建された。

1728年、ベネディクトゥス13世により、カメリーノの町と共に教区指定された。

1785年、ピウス6世により、マテリカの町と共に再度教区に認定。

1798年、ルイ=アレクサンドル・ベルティエにより教皇領から開放され、共和政ローマ宣言したが、短い期間、1800年までだった。

1808年には、Regno italico ナポレオン時代を経て

1813年ナポリ王国の国王ジョアシャン・ミュラ、1814年にオーストリア領、1815年教皇領に戻り、

1847年から1852年までかかった"Camurio"劇場の建設。

1866年アンコーナ-フォリーニョ、ファブリアーノ-ウルビーノ鉄道開通。

第二次世界大戦の時期に鉄道ファブリアーノ線はペルゴラまで延長。55発の爆撃を受け、100人程の戦死者が出た。


ファブリアーノ旧市街地図


見どころ

▼ 市庁舎広場 Piazza del Comune

★ サン・フランチェスコの柱廊 Loggiato San Francesco


★ 時計塔 Torre Civica(旧市庁舎)

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★ 司法長官の館  Palazzo del Podestà

1255年、ゴシック建築。コロッセオのように穴が空いている。アーチ下には、1325-26年に地元の画家ヴェントゥーラ・ディ・フランチェスコ(Ventura di Francesco)により描かれたフレスコ画。下には洋服や置物の商店が入っている。

Wikipedia



★ メイン広場の噴水、ストゥリナルト Fontana Sturinalto

1285年、ペルージャ出身のヤコポ・ディ・グロンダロ(Jacopo di Grondalo)の作品。

作者出身地ペルージャの1277-78年に作られた噴水、ニコラとジョヴァンニ・ピサーノ作を参考にした。

ヨーロッパでも貴重な中世初期の噴水例である。ストゥリナルト(Sturinalto)の語源は、水を高く押し上げる"spinge l'acqua in alto"という意味。三段の水桶からなり、下二段は石製、最上段はブロンズ製。

1351年、当時ファブリアーノ公であったアルベルゲット・キアヴェッリ(Alberghetto Chiavelli)の命で修復。


★ サン・ヴェナンツィオ大聖堂 Cattedrale di San Venanzio

カメリーノの聖ヴェナンツィオ( Venanzio di Camerino)に捧げられた教会。1047年には、この街の一番高い位置に存在したポッジョ城内に作られた教会である。

現在見られるのは17世紀のバロック様式ムツィオ・オッディ( Muzio Oddi)設計。

教会内は美術館の様に、多くの芸術作品がある。主祭壇の聖母子画は16世紀の、ミケランジェロと共に働いたバッティスタ・フランコ作『Vergine con Bambino e santi』サンタ・クローチェ礼拝堂には、オラツィオ・ジェンティレスキの作品、隠された13世紀の礼拝堂には、アッレグレット・ヌツィ (Allegretto Nuzi)の 『十字架(Crocefissione)』などが見どころ。

★ 大聖堂のキオストロ(中庭)

近くの遺跡から出土された大理石円柱が使われた1200年代の部分と、角柱のある1400年代の2つの時代に分けられて作られたキオストロが見られる。

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★ ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ Gentile da Fabriano 

この街出身のゴシック期の画家。代表作『東方三博士の礼拝 Adorazione dei Magi』は、フィレンツェのウフィッツィ美術館に展示。


★ 紙と透かし紙技術の博物館 Museo della carta e della filigrana

この街の名前、ファブリアーノという紙の会社1264年に起業。 ラファエロやレオナルド・ダ・ヴィンチも愛用していた。画材屋はもちろん、ローマの中心地や空港にも店舗展開しており、お土産用にも可愛い雑貨が売られている。


開館時間

月曜定休

2019年3月31日まで : 09.00 - 13.00、14.30 - 18.30

春時間

 2019年5月26日まで : 09.00 - 13.30、14.30 - 18.30 

夏時間

10.00 - 13.00、14.30 - 19.30

Wikipedia

ファブリアーノ旅行協会



★ 絵画館 Pinacoteca civica Bruno Molajoli

病院だった建物(Spedale di Santa Maria del Buon Gesù)に入っている絵画館。


開館日と時間 : 火曜から日曜 10.00-13.00/16.00-19.00 

料金:  €4,30

住所 :Piazza papa Giovanni Paolo II,2 (AN) FABRIANO 

Tel. : 0732 250658 Fax : 0732 250658 

Email : pinacoteca.molajoli@comune.fabriano.an.it 

Sito web : http://www.pinacotecamolajoli.it 

公式HP

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★ 司教区博物館 Museo diocesano di Fabriano


開館日と時間

日曜 h. 10.00-12.00 – 16.00-18.00

公式HP



★ サン・ドメニコの噴水 Fontana di san Domenico

1887年、クインティーノ・セッラ広場の真ん中にあるドメニコ・ロッシ(Domenico Rossi)作の噴水。現在の道路の下には"fons Plani"と呼ばれる泉が湧く洞窟がある。


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その他見どころ 次回見学

★ Complesso monumentale San Benedetto

★ Museo delle Arti e dei mestieri in bicicletta

★ Teatro Gentile

★ Oratorio della Carità

★ Museo della Farmacia Mazzolini Giuseppucci

★ Edicola Mariana di Ottaviano Nelli

★ Collegiata di San Nicolò

★ Chiesa San'Agostino

★ Chiesa di Santa Maria Maddalena

★ Biblioteca pubblica  Romualdo Sasi

その他教会下調べ ↓




山歩き

★ ポッジョ・サン・ロムアルド Poggio S.Romualdo


お気に入り店

★ タヴェルナ・ダ・イーヴォ Taverna Da Ivo


特産品

★ 紙

世界に出回っているデッサン用の紙やユーロ紙幣の紙も製造。ラファエロやレオナルド・ダ・ヴィンチも愛用していた。

1889年パリの万国博覧会でCartiere Miliani Fabriano社が受賞。

★ サラミ

ファブリアーノのサラミ、チャウースコロ


イベント

★ 6月24日 Palio di San Giovanni Battista

★ クリスマスイベント  Villaggio diffuso di Babbo Natale

2018-2019年で第2回


交通

▼ 鉄道

ローマからアンコーナ行きの電車

急行で、ファブリアーノ駅下車 所要時間 2時間50分 13ユーロ程

ICでも20分程の差で倍以上の値段。



写真集

Viale Giambattista Zobiccoの要塞

老舗パン屋のシャッター


コラム


旅行記

2012.08.17

2019.01.01-03





参考

Wikipedia


ファブリアーノ旅行協会


 マルケ州旅行協会

イタリア・マルケ州日本語サイト -アンコーナ県

ハンド・メイド・ペーパーや製紙工業で有名な街。 13世紀の頃から優れた製紙技術で知られており、特に透かしの入った特殊な製紙が高く評価されています。 ファブリアーノは他にも、様々な優れた職人の伝統を受け継いでいます。 鍛造鉄製品や打ち出し細工で浮き彫りを施した銅製品、籐やイグサ製品、陶器、織物などの手工業、そしてアンティーク家具修理などが盛ん。 街の起源は8世紀、中世にさかのぼります。 エーシノ川沿いの谷間にあった、古代ローマ時代のふたつの都市を基盤に建設。 12世紀には「自由都市」として自治政治を認められました。 美術学校が設立され、ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノはこの街が生んだ偉大な芸術家です。【市役所広場】Piazza del Comune 広場を特色付ける 丸い噴水 Fontana Rotonda は、1285年に造られ、1351年に修築されたもの。 現地では ストゥリナルト Sturinalto と呼び親しまれています。 【ポデスタ宮殿】Palazzo del Podest 1255年建立。マルケ州に残る最も古いゴシック様式の建物。 トリフォーレ様式の窓(枠によって三つに分けられた窓)やメルリ(建物の頂上にある銃眼の付いた壁の装飾)が特徴的。 【市役所】Palazzo Comunale 14世紀~15世紀の建物。 又、17世紀建立の ロッジャート・ディ・サン・フランチェスコ Loggiato di S. Francesco (昔ここに聖フランチェスコ教会があった)には、19ものアーチがある外廊があります。 【ウンベルト1世の広場】Piazza Umberto I 聖ヴェナンツォを祀る ドゥオーモ Duomo di S. Venanzo は1617年に再築。 教会内には、

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EDICOLANTEのイタリア小さな可愛い街の旅行記とコラム

イタリア在住15年。現在住んでいるローマを中心に旅した記録をまとめるサイトです。 ブログは、ほぼ毎日アメーバブログで書いています。 http://ameblo.jp/edicola コラムニスタとしてイタリア関連の記事も書いています。 お気に入り旅写真をアップし、地域別におすすめイタリアの小さな可愛い街の旅行記をまとめていきます。

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