ラヌーヴィオ Lanuvio

城壁に囲まれている町。アントニヌス・ピウス(Antonino Pio)と孫コンモドゥス皇帝の出生地。この町の名の由来は、 近くにローリエ(Lauretum)の森があるからだと言われている。


歴史

★ 古代の神話

紀元前9世紀以上前からの歴史ある町。城壁外にはユーノー神殿があり、遺跡が多く発見されている。旧市街内にはエルコレ神殿(Tempio d’Ercole)があった。


★ 古代ローマ ラヌウィウム

古代ラヌウィウム(Antica LANUVIUM)の町。

火山岩のブロックを不規則に重ねて作るローマ人の砦があった。9世紀には既に城があり、サラセン人などから防御のため、ローマ時代に建造された城壁を再利用して砦を再建

11世紀にラヌーヴィオの旧市街(Civita Lavinia)に、ベネディクトゥス修道会が5つの塔を作ったが、幾度も外敵が攻めて来るため修復に修復を重ねていた。特に有名なのが1347年の攻撃で、フランジパーネ家(Frangipane)による、要塞と14世紀の建物損壊の記録である。

15世紀末にパレストリーナのコロンナ家の所有へ。

1564年に、大ジュリアーノ・チェザリーニ(Giuliano Cesarini)が、この町とアルデーアの町を 105,000スクーディで買い占めた。

1800年代に砦が修復され、現在も4つの塔が残っている

1892年1月23日の地震で被害に遭った。

第二次世界大戦中に幾度も戦火になり、地元民の被害者も出す壊滅的な被害に遭った。


見どころ

★ 街のメインの塔  Torre Maschia

ローマ門の塔。10世紀頃の城壁と塔。外敵や第二次世界大戦で何度も爆撃にあったが、保存状態はとても良い。現在は塔内の見学も可能。

初めに修復をした、11世紀のローマ教皇ウィクトル3世(Vittore III 1086-1087)の紋章付き。本名ダウフェリウスはベネヴェント公ランドルフォ5世の子として生まれ、13歳でモンテ・カッシーノ修道院に入りその後、院長となり、ローマ教皇に。

15世紀末にパレストリーナコロンナ家の所有へ。その後、何度も修復を重ねチェザリーニ家へ。 

17世紀に牢獄となり、1559年にローマ教皇パウロス4世の甥っ子も収容された。下の写真はギロチン。

塔内には、パンを焼く窯や囚人の部屋、貯水槽がある。

★ テノール歌手ジャコモ・ラウリ=ヴォルピ

塔の外壁にはこの街の出身者、1920年代から1950年代にかけて活躍したイタリアのテノール歌手ジャコモ・ラウリ=ヴォルピの碑文がある。

★古代ローマの水道を利用した噴水

マッツィーニ広場の噴水( Fontana di Piazza Mazzini)は1675年1月21日、フィリッポ・チェザリーニ(Filippo Cesarini)の命で、トンマーゾ・マッテイ(Tommaso Mattei)設計で完成した。岩の噴水と同じ年に、ローマ時代の水道を修復し清掃して再利用された。

サンタ・マリア・マッジョーレ広場にあった、 ローマ時代の石棺が使われていたが、博物館に運ばれ、現在はペペリーノ(胡椒のような黒いつぶつぶ模様のある凝灰岩)製の小さな水受けがある。水受けの下にもライオンの足が見られる。


★ 岩の噴水 Fontana degli Scogli

1675年、フィリッポ・チェザリーニ(Filippo Cesarini)の命で、建築家カルロ・フォンターナ(Carlo Fontana)作の噴水。岩でできており、現在も建設当時のまま残る。現在のスイス出身で、若くしてローマにて、ピエトロ・ダ・コルトーナやカルロ・ライナルディに学び、 ベルニーニの仲間に。しかも、18世紀に活躍した建築家のほとんどが彼の影響を受け学んで育った。


★ コロンナ宮 

1480年建設。16世紀の海軍司令官マルカントーニオ・コロンナ( Marcantonio Colonna)の生家。 1571年のレパントの海戦(Trionfatore di Lepanto)時に、教皇庁艦隊司令官を務めた。カラファ家(Carafa)、1564年にラヌーヴィオの街全部を、アルデーアの街と共に、ジェンツァーノ・ディ・ローマをも支配していたチェザリーニ家へ。何度も再考案し修復、最終的には未完成である。現在、建物は個人所有で未公開。


★ コロンナ宮の噴水 

1689年(1675年?)フィリッポ・チェザリーニ公がコロンナ宮の正面に、大理石の石棺の水受けがある噴水を設置。 アッピア街道にある、チェザリーニ家の郊外の家から出土された3世紀末から4世紀頃の石棺。二面だけ装飾されている状態で出土。水が吹き出るマスケローネはユーノー神の顔。


★ 博物館 Museo Civico Lanuvino

ユーノー神殿での発掘遺跡や、ローマ時代の邸宅の床のモザイク等が展示。 見どころは、アウグストゥス帝時代のフレスコ画の断片、via Giovanni XXIIIから出土した紀元1世紀末のフレスコ画、羽の生えたゲニウス、ディオニュソス関連の大理石の破片、アントニーノ劇場の紀元2世紀のグリフォンの姿をした大理石の手すり。紀元前3世紀の古代の奉納物。教会に置かれていた対のライオン像など。

Museo Civico Lanuvio

住所 Via San Lorenzo 2/4

夏時間: 月、火、木、土:10:00~13:00、水、金、日:10:00~13:00、16:00~19:00

見学無料だが、出身地と名前とサインを書く必要がある。


★ サンタ・マリア・マッジョーレ教会 Chiesa Collegiata di Santa Maria Maggiore

聖母マリアと、 サン・フィリッポとジャコモに捧げられたロマネスク-ゴシック様式(Stile romanico-gotico)の教会。

ローマ時代のドームスと呼ばれる集合住宅の遺跡上に建設。教会内左に紀元1世紀のモザイクの床が見つかっている。(現在は博物館内に展示)

教会は13世紀には既存し、1240年に神父ジョヴァンニ・サラチェーニによりロマネスク様式に改築。1675年、カルロ・フォンターナ設計で修復。身廊だけを残し、教会正面にフィリッポ・チェザリーニ公の紋章と、修復した年とフィリッポ・チェザリーニ公の名が入れられた。

1680年の鐘楼は、バロック様式のボッローミニ風でトンマーゾ・マッテイの設計。2つの鐘楼を加えることが、チェザリーニ公と町の人々の願いだったが実現されることはなかった。

教会内部は、12世紀の絵画が並ぶ。左の入り口の礼拝堂にはドメニキーノ作だと言われている絵画『Rappresentante la deposizione della croce di San Filippo』がある。

時間 7:30~12:30、15:00~19:00


★ 聖地教会 Santuario della Madonna delle Grazie またはMadonna Pellegrina

マドンナ・デッレ・グラツィエ教会。旧市街からアスツゥーラ通りの坂道を下った場所にある12世紀の教会。1400年代にフランチェスコ会が近くに修道院を建てたため、西側の古い入口を閉じ、南側に新しい入口を作り高い場所に再建した。1500年代末にファサード突出部が付けられ、ビフォラ窓が加えられ後期ゴシック様式となった。

1700年代の奇跡の聖母フレスコ画(Madonna delle Grazie)がある。現在の銀の王冠をかぶる聖母子は、1970年代に盗難にあったため制作された模作品。1523年に教会を拡張したため、14世紀の凝灰岩部分に、まだ古いフレスコ画が眠る可能性が高い。修道院に申請すれば、自宅に聖母子画を運び祈りを捧げることができる。5月にこの町のイベントがある。


★ ユーノー神殿 Tempio di Giunone Sospita

部分的に一般公開。博物館で事前予約をしてガイドをしてもらう方が良い。

ユーノー神(Giunone Sospita)のこの町の紋章は、山羊の皮のマントをまとい蛇がいるデザイン。

(次回訪問)


★ アイネイアースの輪  Anello di Enea

エルコレ神殿広場には、ローマ建国伝説のロムルスとレムスの先祖、英雄アイネイアースが来た時、船を停める時に使った鉄の輪が、壁にかけられているという伝説がある。しかし、ローマの先祖がこの地へ来た時には当然、ローマ人はいなかったのですから事実でなく、伝説に過ぎない。


★ スフォルツァ・チェザリーニ学校  Scuola via Sforza Cesarini 

多角形の建物。かつては学校が男子校と女子校の2ヶ所に分けられており、ひとつはラヌーヴィオの1930年代のネオクラッシコ様式。数年前まで使われていたが、老朽化のため 現在はイベント等で使われているのみである。真鍮製のラヌーヴィオの紋章がある。


★ スタンピリア通りの宮殿 Palazzo di Via Stampiglia

凝灰岩の建物。1600年代の詩人、オペラ台本製作者シルヴィオ・スタンピリア(Silvio Stampiglia)の名がついた宮殿。

(次回訪問)




★ 古代ローマのロレート橋 Ponte Loreto

現在は静かな小さな町だが、ローマ帝国時代は、海辺の町アンツィオアルデーアから内陸へ向かう重要な場所で、交通量も多かった。ラヌーヴィオの街から海方面に向かうアスツゥーラ通り(via Astura)沿いに並行し、石が敷き詰めてある古代の街道が残っており、ローマ時代の橋も現存する。紀元前8世紀には存在していた通りや橋である。ここからラヌーヴィオの町の全景も眺められる。


★ コンモドゥス帝

ローマのカピトリーニ美術館には、この町出身のコンモドゥス帝像がある。


★ チェントゥリペ広場の噴水  Fontana di Piazza Centuripe

チェントゥリペ広場にはローマ時代の遺跡がある。大きな劇場が旧市街のほとんどを締めていたけれど、中世の時代に家が建てられ、現在広場には、噴水がある。劇場の遺跡の上につくられてるのが面白い。 Viale Alcide de Gasperi に8.5mの壁が残ってる。

(次回訪問)


特産品

★ ワイン DOC Colli Lanuvini や Colli Lanuvini superiore
★ 修道院で作られたジャム

他にはオリーブ、フルーツ、花、野菜の産地。


お気に入り店

★ パスティッチェリーア


★ フォルノ



イベント

イベントの多い時期は地区ごとに旗が揚げられている。



アクセス方法

電車

ヴェッレートリ行き


出土品

★ ローマのVilla Poniatowski

ラティーノ・エトルリア時代の 魔除け。アンテフィクサ。

antefissa di menade con nimbo traforato (500 a.C. dal Tempio di Iuno Sospita a Lanuvio)



ブログ

2018.01.27



2013.10.


参考

役所

Wikipedia

Castelli Romani

Impero Romano

EDICOLANTEのイタリア小さな可愛い街の旅行記とコラム

イタリア在住15年。現在住んでいるローマを中心に旅した記録をまとめるサイトです。 ブログは、ほぼ毎日アメーバブログで書いています。 http://ameblo.jp/edicola コラムニスタとしてイタリア関連の記事も書いています。 お気に入り旅写真をアップし、地域別におすすめイタリアの小さな可愛い街の旅行記をまとめていきます。

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